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【スロースリップ現象についての詳細】

【スロースリップ現象についての詳細】
千葉県の沖合で相次いでいる地震について、本当は動画に投稿して詳しく解説したいところなのですが、立て込んでいますので、今回は文章で解説したいと思います。

今年の先週あたりから千葉県の沖合ではスロースリップによって有感地震が相次いで観測されました。国土地理院の解析結果では、フィリピン海プレートと陸側のプレート境界面でスロースリップが発生していると推定され、2月28日までにすべりを計算したところ、房総半島沖で最大約2cmのすべりが推定された模様です。

なお、「スロースリップ」とは、ゆっくりとプレートが滑ってずれ動く現象のことで、「ゆっくり滑り」などとも呼ばれています。スロースリップ自体は、人が気づくような揺れを起こすことはありません。

ただ房総半島の沖合では、スロースリップの発生によって有感地震が観測されやすい領域で、過去には、1996年、2002年、2007年、2011年、2014年、2018年など、平均5〜6年程度の間隔で発生しています(2011年以降に発生したスロースリップの発生間隔が早くなっているのは、東北地方太平洋沖地震による影響によるものと考えられる)。
このように千葉県のスロースリップは、周期的に起きているものなので、あまり過度に心配になる必要はありません。

しかしスロースリップは、そのときの固着域(アスペリティ)の歪みの蓄積量などの条件次第では、巨大地震を誘発させる最後の一押しとなる可能性があるので、巨大地震が起きないと断言できるものではありません。その典型的な例が東北地方太平洋沖地震で、さらに海外ではチリの地震、メキシコの地震などです。
スロースリップの発生によって、地下のバランスが変わることで、周辺地域ではむしろ応力が増加して中規模以上の地震を誘発させる恐れもありますので、注意しなければならない事象ではあります。

この地震を側に備えるきっかけとなればよいかと思います。

※写真は「地震調査研究推進本部」のものを使用。写真はプレート同士全てが固着しているような図になっていますが、実際には凸凹しているので、固着している領域と比較的スムーズに滑る「安定すべり域」に分かれていますので、全部の領域が固着しているわけではありません。

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